インスタグラムという凶器

題名がいかにも、尖った若者からの支持率が高そうな著者がつけたものみたいである。だが別に特別高尚なことを、これを読んでいる人たちにレクチャーするわけではない。ただインスタグラムは私の生活をむしばんでいるというだけの話である。

私がインスタグラムを始めたのはつい最近のことである。私はインスタグラムをやっている人を斜めに見る、時代の波に乗らないことがかっこいいと思っている化石系男子であった。人があげている写真を見て一体何になるのか、化石にはさっぱりわからなかった。しかしいつまでも子供みたいに言っているのも情けないなと思い、アカウントを作ってみたのである。

とりあえず、大学の友人を数人フォローした。彼らの投稿を見ると車好きな人は車の写真や、ドライブをしているという旨のストーリーをアップし、カフェ巡りが趣味です!という人はもちろんカフェの写真を挙げて、それなりに長い文章とともにアップしていたりと色とりどりである。

それらの投稿を最初は楽しく見ていたのだが、だんだんと自分も上げてみようかなという気持ちになってくる。しかし私には、プラスチックボールを使って外国人投手の真似をして壁あてする程度の趣味くらいしか持ち合わせていないのである。その結果私は何と無趣味な奴なんだろうと思うはめになる。ここからだんだんと私の精神が蝕まれていくのである。

インスタグラムを見るのが少し怖くなり1週間ほど見なくなった。すると私のもとにある一通の通知が来たのである。

「〇〇がライブ配信を開始しました。」

これがいわゆるインスタライブか!と思い見ようと久しぶりにインスタグラムを開く。しかしすんでのところで見るのが怖くなってしまった。インスタライブは見たら私が見たことの通知が行く、という知識がフラッシュバックしたのである。ここから負の連鎖が始まるのである。

「よう、○○」と読み上げられて、目立ったりするのはやだな。そもそも大学からの友達じゃなくて彼の高校の友達が集まっているものだったりしたら、彼以外こいつ誰?という空気になったりしそうだな。そもそもインスタライブを見に行っていい有効度なのか?

こんなことを考えていたらインスタライブは終わってしまっていた。時計を見ると2時間たっていたのである。

あれから1ヵ月経ったが、いまだにインスタグラムを開くことはできていない。